たくみ

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのたくみのレビュー・感想・評価

4.1
#MeToo運動のきっかけになった事件を題材にした作品。
面白いという感想を持つのは違うと思うが、見て良かったと思える作品。

不当に声を奪われた女性たちの声を代弁する主人公たちの正義感が素晴らしい。
取材を重ねても重ねても「話せない事になっている」「解決した」などと沈黙を貫く被害者たち。
被害者たちと対面で話すシーンがいくつか出てくるが、そこで言葉では言えないと言っているのにも関わらず、顔や体には怒りや恐怖が滲み出ているのが見ていて苦しかった。
「25年待ったのよ。」というセリフが特に印象的でした。
こうやって一生の傷を負いながら夢もキャリアを奪われた人たちが多い事に驚きを隠せなかったです。

基本的にフィクションなのですが、おそらく音声テープだけが実際のものが使われています。
実際の現場になったであろうホテルの廊下が音声と共に映されるだけのシーン。
女性からしたらNoという事も逃げる事も性暴力に抗うことも出来ない雁字搦めのようなこの瞬間恐怖以外の何物でもないだろうなと感じました。

ミーガン、ジョディとの会話を重ねていくうちに、過去の被害者たちが未来の被害者を出さないために声を上げていく姿勢にはとても感銘を受けました。

今作の中心になってくる人物たちはみな家族を持っており、娘さんが強調されて映されます。
この子たちが被害者にならないためにも、親としての覚悟も示した人々の行動には勇気づけられます。

明るみになったからワインスタインは実刑を受けているわけですが、恐らくもっと多くの闇に葬られた性暴力もあったのだと思います。
日本もジャニーズ問題があり人事では無く、見る価値のある一本だと思います、是非。


【その他メモ・独り言】
・「誰にだって秘密はある」
・公園で昼食を買うシーンでミーガン、ジョディが分かれて買ったのを強調して映しているのは何故なのか気になる。
・アシュレイ・ジャッドは本人役で出演。実際に被害を受けている。
たくみ

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