これはすごいよかったです…。
とても良い映画で、引き込まれるようにして最後まで観ました。
実際に起きていたことは胸糞案件で救いようもない。圧倒的な権力と業界の構造、女性蔑視、秘密保持契約など何重にもわたって犯罪者に有利な世界。
どうにか明るみに出そうとするジャーナリスト2人の仕事ぶりが変にドラマチックでも感情的でもなく、淡々と、でも根底で強い正義感に満ちていてかっこよかった。被害にあった女性たちに寄り添い続ける姿も印象的でした。2人とも小さい子供のいる家族の一員で、当たり前に母親業もこなしていて、子供に対する配慮も感じられ、なのに、子供は世界から知らぬ間に「レイプ」という言葉を学んでくる。ジャーナリズムで良くするはずである未来と、残酷な現実。
それぞれの被害者のそれぞれの葛藤、苦しみ、絶望もリアルだった。また、事件が起きた当時の様子を、人物を写さず言葉で描写する手法が、きちんと耳を傾けることができより緊張感を感じた。映画のつくりの巧さをかんじた。
”she said”というタイトル。一人ひとりの言葉の重みが、その言葉の連なりが、こんなに響く。2人のジャーナリストとその仲間、そして声を挙げた沢山の人たちに敬意と感謝を。そして声を挙げられずとも、辛い体験を抱える多くの人たちに心からの連帯を。
