ひろゆき

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのひろゆきのレビュー・感想・評価

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銀幕短評(#707)

「She Said」
2022年、アメリカ。2時間15分。


この映画の存在と だいたいの内容は知っていました。いわゆる#MeToo運動の機運を盛り上げるきっかけとなった じっさいの事件を映画化したものだと。しかし、取り立てて観る気はなかった。今回それを観たのは、前回 #706「アシスタント」の映画で、気になる描写(わたしはそれを当人同士の“等価交換”による経済行為だと思った と感想文に書きましたが)が 一か所あったからです。性犯罪について考えを巡らせるのに、これは いいきっかけになるかもしれないと。


(おまけ)

「性犯罪について」

性別の組み合わせは4種類(2×2)をベースに いろいろあると思いますが、ここでは圧倒的なマジョリティを占める「男から女への加害」を考えます。


性犯罪の種別について
犯罪の軽重もいろいろだし、被害者の受けるトラウマも一概に比較することはできませんが、加害の与える悪影響を軽いと思われるものから順に並べてみます。

・邪心のある視線(これを退けることは至難です)
・口頭による侮蔑的な(あるいは立ち入った)発言
・痴漢(身体への接触)や盗撮
・抱擁(邪心のないハグを除きます)
・接吻の強要
・脱衣の強要
・性交の強要
・強姦(強制性交)
・(心理的な圧迫による)愛人契約の強要


加害者の特性について
もし接吻の強要を、とおりがかりの不審者にされたときと 信頼している学校の先生にされたときとでは、後者で受けるこころの傷はふかくなると考えます。加害者がじぶんに身近であればあるだけ、信頼を寄せていればいるだけ、その男の豹変ぶり(ギャップ)にショックを受け、そのダメージは大きくなります。

逆に、信頼している(相手もじぶんを信頼してくれている)男であればあるほど、ハラスメント(まあ犯罪の前段階としてのいやがらせですね)的なたとえば口頭での ややきわどい冗談などについて、その許容度は広がります。そのときと場所での おたがいの考えを理解し合え、心情変化のニュアンスがつかめるからです。


性的犯罪の露呈について
これは これら映画2作で見られましたが、同一組織内の職責が上位の男と下位の女をかんがえると、女が圧倒的に不利です。男は長年の会社への貢献をつうじて実績を上げ、組織の上位を占めている。彼が獲物として狙うのは、じぶんとくらべて圧倒的な下位に属する女性です。ふたりの間で利害が衝突したばあい、倫理・善悪の判断ももちろん俎上にのぼりますが、組織への貢献、組織の運営、あるいはどちらの当事者が自分(判定者)の処遇に影響を与えるかが、決定的な判断材料となります。さらに、年長の男は年若の女よりも人生経験がながく狡猾に立ち回ります。つまり ああいえばこういうで、のらりくらりと責任を逃れる。これをひっくり返すのはなかなかむずかしい。こういう一般論を考えたばあい、組織の下位者から上位者に対する犯罪は、その可能性が低いかもしれません。


犯罪性の軽減について
「アシスタント」の回で書きましたが、あれは経済行為であって、犯罪ではないのではないかと わたしは考えました。つまり財・サービスの授受によって、じぶんが差し出すもの(自分の体)と受け取るもの(相手の会社への入社の確約)のバランスが取れていると判断し、双方合意のもとに たとえば性交をする場合。これは納得ずくの取引です。いわゆる枕営業(いやなことばですね)です。現に、売春(女から男だけでなく逆の男娼(だんしょう)だって)もビジネスとして厳然と世界中で存在しています。あるいは、売春のビジネスの存在は 暴走しがちな男の性欲を鎮(しず)め、世の性犯罪を抑止しているという主張もあります。


罪の立証と冤罪(えんざい)について
これはむずかしい問題なので、いったん省略します。「それでもボクはやってない」をみてください。


女性の性犯罪の防備策について
いったんパスします。たとえば露出のたかい着衣の自制、夜間行動の自制、深酒の自制など、面倒なものばかりが挙げられるでしょう。


さらにそのつぎへ
このおまけは、超ながいおまけにする心づもりでしたが、これから先 何を書いていいかをちょっと思いつかなくなりました。尻すぼみです(省略パートをしっかり書き込めば、かなり長くなりますが)。体調のいいときにまた追記します。
たとえば先に挙げた 女性に対する「邪心のある視線」というテーマについて、スマホ画面2スクロールくらい書ける自前のネタがありますが、ここでは割愛します。
まあ正直に誠実に生きようと思いますよ。いつものコーヒー屋さんに行って、いろいろ考えてみます。このテーマで話し合える、気ごころのしれた客が来ているといいなあ。

おしまい。

(でも おしまいとはせずに、なかよしの女性たち、いずれも20代の3人に インタビューを始めましたよ。うまくアポが取れました。そこでみちびく考えを 追ってコメントでぶら下げるので、日を置いて見に来てくださいね。)
ひろゆき

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