まーしー

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのまーしーのレビュー・感想・評価

3.0
ハリウッドの大物プロデューサーであるハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題を取材する、NYタイムズの女性記者2人の奮闘を描いた社会派ドラマ。

正直、観ていて良い気はしなかった。
自身の絶対的な権力のもと、駆け出しの女優に迫るワインスタイン。
拒めば女優としての夢が絶たれる。受け入れたとしても、その事実を口外しないという「秘密保持契約」を交わされ、心に負った深い傷と向き合いながら半生を過ごしていく。
若い女性の夢を踏み絵にした、おそろしい密室の出来事が生々しく描かれていた。

隠蔽された事実を明るみにしようと追い続ける記者2人。特に、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガン演じるミーガンは、経験と度胸を持ち合わせた、非常にバランス感覚のある記者という印象。
彼女たち記者の熱意が伝わってか、勇気を振り絞って事実を告白する被害女性たち。
結局、誰が最初のその一歩を踏み出すかだろう。事実、一人の告白をきっかけに多くの女性が被害を名乗り出たことを思うと、最初の一歩を踏み出すのにどれほどの勇気が必要か、容易に想像できる。

被害女性たちの告白という決断が果たして正しかったのか、当事者ではない私には解らない。
ただ、ミーガンたちの記事が♯Me Too運動の火付け役となったことを思うと、世の中に一石を投じたことは確かだろう。
こうした見えないセクハラや性加害は、ハリウッド映画界のみならず、他の業界にもまだ多く存在しているだろう。
権力と性問題が切り離される社会が到来するためにも、こうした映画との出会いは大切だと思う。