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SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのvenom9のレビュー・感想・評価

4.0
「#MeToo運動」のきっかけとなった、ハーヴェイ・ワインスティーンによる数々の性加害と、それを記事にしようと裏どりや証人探しに奔走するニューヨークタイムズ紙のふたりの女性記者とその同僚たちの活動を描きます。
ハーヴェイ・ワインスティーンは大物プロデューサーというだけではなく、映画製作会社ミラマックスを創業し、その後ワインスティーンカンパニーを立ち上げヒット作を量産した、映画業界の重鎮といえます。ワインスティーンは、人事権を餌にスタッフや駆け出しの女優などに対し、数十年にわたり性暴力や虐待を繰り返したということです。また、業界での仕事をができなくなることをほのめかしたり、示談金や秘密保持契約で口外や告発を抑圧したり、元諜報員を雇い被害者の弱みを調べたり、記者の取材活動の妨害撹乱も行っていたとのこと。
ニューヨークタイムズの記事がきっかけでニューヨーク市警が動き逮捕、禁固23年の判決が出ています。その後英国検察からも起訴され、カリフォルニアでも起訴され、結果的に禁固約40年の実刑となり服役中、おそらく生涯刑務所から出ることができません。
本作は、性暴力の被害者がいかに声をあげにくいか、有力者による圧力が如何に苛烈であるかをうまく描いています。ワインスティーンはニューヨークタイムズにも当然圧力を加えるのですが、編集主幹のディーン・バケットなど編集チームは動じず、記事を発表します。
記事発表は今から約5年前のことです。某大手アイドル事務所創業者の性加害を黙認してきた業界関係者、大手新聞やテレビ局は大いに恥じるべきですね。記者は玉石混交と思いますが、先述の大手メディアは忖度の権化となりジャーナリズムを放棄した。報道機関として機能不全を起こしていると言われても仕方ないですね。
(U-NEXTで鑑賞)
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