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運命のふたり -劇場版-のくりふのレビュー・感想・評価

運命のふたり -劇場版-(2022年製作の映画)
3.0
【時をかけるいいひと】

Netflixタイ新作。劇場版ってナニ?と思い、一応調べてから見た。

タイの人気ドラマを映画化したもので、ドラマにも続編があって、両者の間に属するスピンオフ的物語だそうだ。…てな出自を、ネフリっていつも教えないよね、そこ要検討すべし!

時代劇の上、人物はタイムスリップするし、前後に既に物語があるし…という、タイに明るくもなく、初見の外国人にとってはハンデ大盛り。これで100%楽しむってのがムリ。

それでもパーツの魅力は多いし、タイでヒットの理由も想像はつく。いいひとばかりが集まる、やさしい話なんですよね。で、愛の成就を疑わない。美しく可愛らしく酔える物語。

軽いが軽薄ではなく、歴史的事実やその面白さをまあ、底に敷き、保険のように活かしている。本編では、19世紀のシャム、ラタナコーシン朝が舞台。英国の貿易会社が、川沿いの貴族に蒸気船を売ろうとやって来るが、トラブってしまい…。

そこに、ドラマの時代から転生したらしきカップルが巻き込まれ、さらに、第三の男が話を面白く…いや、ややこしく?してゆく。

映像の質や演出から、NHKのドラマでも見ているような感覚でした。毒は皆無。悪人も暗躍するが、徹底して心地よいトーンでまとめている。とはいえ幼稚とまでは行かず、素朴。

オバチャンがちょっとお下品に暴走したり、ギャグがまるで笑えなかったりは、アリ。

肝心のところを呪術で解決しちゃったりするのは驚き!これがタイかタイなのか!?

蒸気船の全体像は多分CGですが、舞台かつ大道具として割と活かされ楽しい。西欧とシャムの、力関係の象徴でもあり、その上でアクションが立ち回る、マスケット銃や大砲も、時代がかっていい味を出しています。

“なんちゃってタイタニック”をやっちゃったりもするしね。

日記とスマホ、タイの花々なども、よき小道具として詩的に効いています。

役者さんも嫌味がなく、ホント、単体で充分わかる物語に仕上げれば、日本でもけっこうウケたろうに残念。長いのも難点。この内訳で166分はどう考えても、要らない。

私は正直、1.5倍速でプチ流し見しました。それでも愉しめたのは19世紀想定、川沿い暮らしのロケーションがホント、爽やかに撮られているので、それだけで目が潤ったから。

主役トリオは美男美女で、それも潤える理由。ヒロインは、タイ版香椎由宇サンでした。

<2023.6.17記>
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