いのしん

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのいのしんのレビュー・感想・評価

3.9
良かった。こういうタイプの映画好き。公開劇場数が少ないのがもったいないくらい。
タイムループが話のベース。自分の意志で操れるタイムリープとは違い、毎回決められたタイミングで一週間前にワープする。話としては分かりやすいし、それを気づかせるための上司へのプレゼンシーンが笑いをとりにきている。そこのインパクトが強く、漫画のタッチでストーリーを繋ごうとしている後半が若干間延び感を感じさせるが、総じて高評価。もう一回観たい。
不可解な現象をどう他人に信じさせるかという、悪戦苦闘する部下達の面白さがある。やはりこれから起こることを事前予知することで、タイムループを気づかせようとするのだなあ。停電前に当たり前にライトを用意するようになっていたり。繰り返しているが故に、効率よく仕事をこなすようになっていき、取引先からも褒められる。無限ループは地獄だが、できることならやり直したいと思うシーンって意外とあるよね。
目の前の問題を周りの仲間と協力して解決に向けて動くのか、自分の夢を選ぶのか。その決断を迫られる吉川(円井わん)も見どころ。タイムループしていると気づいた吉川の後輩社員である遠藤(長村航希)たちが、原因は部長(マキタスポーツ)のつけている呪いのブレスレッドだと、冒頭からいきなり決めつけるので、突然でこじつけすぎではないかと感じたが、よくあるタイムリープものの作品だと、主人公の思いや身につけているものが原因なのだと、類似作品を利用して理由をつけているのが、上手いなと思った。
取引先とのメール、電話など、社会人を経験している人ならその大変さやあるあるが共感できなくもないのがまた良い。忙しい時ってあっという間の一週間だし、先週何したか覚えてないし、同じことが繰り返されていても「これ最近多いよね」という感覚で片付けられてしまうのは分かる気がする。みんな忙しいし、プライベートを犠牲にしてまで働く姿は、まさにブラック企業。だけど、あの人数の会社ならアットホームみたいで楽しいのかな。実際漫画描いているシーンとか、団結感あったし。
部長の物分かりの悪さがまた面白くて良い。タイムループの事実をなかなか信じないし、漫画の原稿を出版社に送ろうとしないし。