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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのTSのレビュー・感想・評価

4.1
【現実社会もループみたいなもの】86点
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監督:竹林亮
製作国:日本
ジャンル:コメディ
収録時間:82分
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 上映当時から気になっていましたが観に行けず、U-NEXTが早速配信していたので鑑賞。U-NEXTはやはりそのあたり滅茶苦茶早いので優秀。さて、評判が頗る良かった今作ですが、期待通り面白くて社会的メッセージが強くある作品と思いました。笑えるシーンもあるし、終盤はやや泣ける要素があったり、バランスの良い作品でした。

 とある会社のオフィス。多忙な残業な中、職場で寝泊まりをしてしまった吉川。そこで同僚の二人が奇妙なことを言い始めるのだが。。

 副題にある通り、タイムループ系の映画です。最近だと『ハッピーデスデイ』や『オールユーニードイズキル』あたりがそれでした。ちなみに自分のタイムループ系のベストは『バタフライエフェクト』です。そんな中、邦画のタイムループ系はややレア。低予算が故に、ほとんどオフィス内で話が完結しているのも面白いです。今作は、とある1週間を延々とループし、その事実を上司に気づかせないと終わらないと言う、副題がほぼ全てを物語っている作品です。尺も80分と見やすく非常に面白いです。

 これがタイムループと他者に認識させるためには、やはりこれから起こることを的中させるということが重要です。これは他の類似作品でもされているいわば作法のようなものです。そうやって、仲間を増やしながらラスボスとも言える上司にどう説得するか。一捻りあるのでここでは伏せますが、上司にプレゼンをするシーンはかなり面白かったですね。見せ方がうまいと感じました。

 そんな中、エンターテイメントとしても抜群であるのですが、秘めてるテーマも素晴らしいです。昨今の日本のブラック社会を揶揄するような内容。そして、まさしくループのような1週間にとらわれず、様々なことにチャレンジすることが大事だということも今作は強く訴えています。確かに我々は「1週間」にとらわれすぎです。あまりにも似たようなことが毎週続くので、先週の月曜何をしていたか?すらわからなくなってしまいます。このルーティンは果たして良いのか?もちろんタスクをこなすことは大事ですし、ルーティンに慣れて規則正しい生活を過ごすことも人生には欠かせません。だからといって、人生は短いのに、こんな機械的なことを毎週毎週やっていて果たしてよいのでしょうか?みんながみんな自由人で、転職を繰り返していたらこの社会は成り立たないと思いますが、むしろそれで成り立たなくなるこの社会がどうなのかと思わされてしまいます。

 いまやコロナ禍に入りもう三年。後先が見えない中、若者を中心とした人々は、何を目標にして、何を生きがいにして生きていくのか。今作の示しているループは、作中ではSFですが怖いことに現実世界で起きています。そのループから抜け出すためにはどうしたらいいのか?そのあたりのこの作品なりの答えが終盤でわかった時、途中まで笑っていたはずなのに、何故だか泣けてきます。

 毎日多忙な仕事をこなしている人全員に見てほしいエンタメ佳作。この小規模でこれくらいの佳作ができるのですから、予算なんて関係ないのかも。佳作に求められるのはやはり話題性、脚本なのでしょう。興味のある方はぜひ。
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