ループ物定番のツッコミどころ満載のファンタジーではあるが、もっとコメディに振っているかと思ったら、きちんとしたドラマがあり楽しめた作品。
中心になるテーマが単調な日常や人間関係なので、ループ自体は調味料的な味付けと思い見るのが良いだろう。
少人数にキャラを絞り込んだのも、キャラが立って良い効果を生んでいる。
また設定としては鳩の衝突で思い出すという所は上手いつくり。
ただ、事務のおばちゃんがなぜか正の字を70回書いたものを持っていたり、日曜の夜に徹夜しようというアイディアはなかったり、どうすれば戻れるかは何となく理由づけしているが、その原因が陽となのか物なのか意志なのかが結局語られないのは大きなツッコミ所だろう。
マンガと絡めたストーリーは良く出来ていて見所なので、そちらに集中するとストレスは少ない。
人情ドラマとして見ることをお勧めする作品。
余談。
押井守の「ビューティフルドリーマー」などタイムループはたまに名作が出るが、最近では使い古されて「お決まりの設定」となったのはちょっと残念。
さて、ループ物で一番の難点は「全宇宙がループしてしまう」ことだろう。
ちょっと考えれば分かるが、日本だけ、地球だけ、太陽系だけなどはあり得ない。
銀河系だけ、は光が届く時間を考慮すればギリ誤魔化せるが、それでもぼろが出る。
あと、どんな物語でもループの原因を身近で見つけてしまうが、全宇宙のどこかに原因があるはずで、身近にある確率などゼロと言っていいだろう。
回避するためには「ビューティフル~」のように夢落ちか、ハルヒのように神ぐらい格を与えるか、筒井康隆の「しゃっくり」のように原因など無視してそのループの結果にフォーカスするか・・・
かなりな大技を使わないとループ物はストレスの残る設定となってしまうのが難点だ。