このレビューはネタバレを含みます
終始、あの乾いた空間を漂って
ぼくは子どもの頃
人が死ぬと雲になると思っていた…
空へ飛びたつことに取り憑かれた男、フェリックス
どこまでも蒼い空とテラコッタの大地
十字架に見守られ、飛行機の製作に勤しむ
共に暮らす妹のベティ
彼女はそんな兄とは違い、亡き父の遺言を守りこの何もない地に留まろうとする
そんな二人の危うい均衡は、
逃亡者スミスによって破られて
兄と妹
空へ、という希望はおそらく
現実の絶望と表裏一体だと二人とも承知している
突き動かさせれる衝動が
飛びたい
イカれてる
の狭間で揺れる
いよいよラストチャンス
出来る限りの知恵と材料を使って作った飛行機
ベティは当然ながら、土壇場でフェリックスも一緒に乗らないとスミスに告げる
Go!
見上げるフェリックスの瞳の先には
憧れ続けた青空
雲になって飛んでいく…
観ている私も
ぼんやりとあの砂漠を彷徨う不思議な感覚に包まれて。