一

あさぎり軍歌の一のレビュー・感想・評価

あさぎり軍歌(1943年製作の映画)
-
戊辰戦争が舞台。国策映画として解釈するならば、台詞で念押されるように「日本人同士争っている場合ではない 真の敵は外国である」なのだが、それにしても、武士精神にきっぱり見切りをつけて武器商人に転身した坂東好太郎のシニカルな立ち振舞いは異様に映る。円谷英二の特撮で派手に描かれる戦闘を他人事のように屋根の上から眺める姿にどう感情を肩入れしろというのか。幕府軍が全滅した戦闘の跡に足を運び「命を賭するほどの信念は必要ない」とまで言うのも、どう考えたって当時の日本軍に対する批判だろう。これがお咎めもなく作られ公開されたことに驚く。民三、やはり底知れない。
一