クリーム

ザ・クロッシングのクリームのレビュー・感想・評価

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)
3.7
ウクライナのオデッサでユダヤ人迫害を受けた作者の家族の実体験が基になっている。カラフルな色彩とは裏腹な重たいストーリー。過酷な環境下で逞しく生きて行く姉弟。ガラスに描かれた油絵を少しずつ直して行く技法で完成に10年以上かかったらしい。エンドロールにその製作中の写真が映ります。観た事の無い技法の絵は見事で、味のある作品になっていました。

略奪により村を追われ一家で逃げ出すも、途中で両親と離れたキョナとアドリエルの双子の姉弟。2人は追っ手から逃れ、旅を続ける。移民迫害の気運が高まる地域を数多の試練を乗り越え、両親との約束の地を目指すのだった。



ネタバレ↓



2人は両親·弟達とはぐれ、待ち合わせの地へ向かう。大きな街に着き、バッグを盗まれ、追いかけると子供達に略奪等をさせるリーダー·イスカンデルに出会う。キョナは毎日、両親を待ち、アドリエルは6人の悪党カラス団の仲間になった。ある日イスカンデルに仕事を依頼するヨンと言う男に2人は、連れて去られ金持ちの夫婦に売られました。
おとなしく従順な姉弟を強要されるが、キョナは拒否。再び売られそうになり、2人は逃げ出したが、吹雪でバラバラに。キョナは、イスカンデルの母に助けられ、アドリエルは、サーカス団で拾われた。2人は、サーカスで再会します。エルデワンと言う青年に好かれたキョナ。しかし、またも身の危険が迫り、姉弟とエルデワンは、逃げ出したが、兵士に捕まり収容所に入れられた。
病気になったキョナを収容所にいたイスカンデルが助けてくれ、3人と中で知り合った少年が、脱出を試みたがエデルワンが殺された。ヨンに捕まりそうになった彼等をイスカンデルがヨンを殺し逃がしてくれた。3人は、国境を越えて行くのだった。

手の込んだ技法の美しいアニメは見応えがありました。世界各地で起きている迫害や移民問題。犠牲になるのはいつも弱い者達だが、希望を捨てなければ、明るい未来は見える。そんな世の中であって欲しいと思わされる作品でした。
良作なのですが類似作品「トゥルーノース」「フナン」「フリー」に比べるとちょっと話が薄かったかなと思いました。
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