けーはち

イエス様 マリア様 ヨセフ様のけーはちのレビュー・感想・評価

3.3
インドのキリスト教徒のコミュニティで葬儀を挙げようとしてドタバタする一日を描いた悲喜劇。インドにも2%ちょっとのマイノリティーであるがキリスト教徒がいて、普通に牛も食べる(同監督の代表作に逃亡した水牛が暴走する作品もある)。本作では父親を喪った男イーシ(イエスの現地発音?)が思うような葬式を挙げられず、ついにはブチ切れる悲喜劇となる。ボッタクリ高級黒檀の棺の底が抜けたり、葬送曲を奏でるバンドがヘボで調子が狂ったり、親戚に結婚持参金の話を蒸し返されてモメたり、警察がチンタラしたため葬式途中で解剖となったり、そのうち墓掘り人までアル中で突然死し……ともかくグダグダ。そもそも、前提として、マジョリティーであるヒンドゥー教では死=荼毘に付して川などにパッと撒いて終わり。輪廻転生の教義により、現世の墓や棺や遺体の扱いに拘る思想がない。本作は多くのインド人には想像以上にアホでナンセンスな珍騒動コメディに見えるんだろう。

特に踊りも歌いもしないグダグダやってるだけのインド映画だが、こういう地味ながら文化の差異を見せるドタバタ人情劇志向の作品もあるのは良いと思う。