半兵衛

拳銃は俺のパスポートの半兵衛のレビュー・感想・評価

拳銃は俺のパスポート(1967年製作の映画)
3.8
映画館でこの作品を初めて見たとき、観賞後に宍戸錠のトークショーを見ることが出来たのは今となっては良い思い出。ガンアクションを披露したり危ない話をガンガン喋ってお客さんを笑わせたりと、スターとしての誇りとサービス精神とお客への礼節に満ちた振る舞いに大いに感激したことを昨日の出来事のように浮かんでくる。

日本映画としては珍しい徹底的なハードボイルドの名作で、その拘ったディテールやストーリーなど日活ニューアクションや東宝アクションに影響を与えたと思われる一作。

序盤とラストのクールな銃撃シーンが最高で、銃のエフェクトのレベルが段違いに上がっている現在から見ても遜色ないのが凄い。そして何と言っても宍戸錠のガンプレイの見事さ、ラストの走りつつ銃を次から次へと交換しながら敵を倒していく姿は圧巻の一言に尽きる。

宍戸錠のクールな佇まいがクラシックなハードボイルド物語にぴったりで、醒めた目付きもヒットマンらしさを膨らませる。相棒役のジェリー藤尾の若さゆえの未熟さと宍戸への愛を滲ませる姿、二人を匿うある事情で俗世間から隠れるように生きる小林千登勢のどこか乾いた演技も最高。

あと序盤でいきなり殺されるアラカンと深江章喜をはじめ、内田朝雄、佐々木孝丸、江角英明、宮部昭夫、木島一郎、草薙幸二郎と渋い名優による悪役のキャスティングも決まっている。またこの映画では杉良太郎が抜擢のような形で悪役の重要キャラを演じているが、初々しさが抜けきれていないため名優陣に食われっぱなしなのが残念。

凝ったカメラワークやモリコーネっぽい音楽も独特の印象を与える。そして横浜などの裏町の風景が敵に追い詰められ逃げ場のない殺し屋の物語にドンピシャにハマっている。
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