丽遥

拳銃は俺のパスポートの丽遥のレビュー・感想・評価

拳銃は俺のパスポート(1967年製作の映画)
3.9
宍戸錠の身体能力が高すぎる、ハエのアイデアも彼が出したらしく文武両道とはこのこと…

日活無国籍アクションとはこのことでもあり、ラスト砂嵐の中での血統はほんとに日本とは思えない。殺し屋、波止場、銃撃といったフィルム・ノワール的要素を散りばめれば日本ぽくならないのはそりゃそうだが。

でもヒロインは全くファムファタール的では無く、ただの主人公のサポート役といった感じ。主人公と恋愛に発展することも無く、破滅するということもない。そういえば日活ノワールにはボイスオーバーや回想といった特徴もないな。むしろ絵面だけをフィルム・ノワールから拝借してきてるといえる。フィルム・ノワールは主人公の取り返しのつかなさを主人公がぐだぐた語る映画だけど、日活ノワールは、全てを失っても生きていくみたいな一匹狼の生き様を描いているというのか、、この違いはどこにあるのだろう、武士道とか、戦勝国と敗戦国の違いとかなのだろうか。

ラストの銃撃戦の盛り上がりようもすごい。お互いの銃のカットバックがどんどん速くなっていって、頂点に達する前に一旦互いの銃をズームアップしといてから、まさかの銃ではなくダイナマイトが爆発するという。ダイナマイトが爆発するサスペンスを保ちつつも、銃撃の要素も楽しませる欲張りセット。
冒頭の銃についてる覗き窓からターゲットを覗きみる主観ショットが無音で展開されたのに対して、銃撃戦はピストルの音などが迫力あって、静と動の対比も面白かった。
最後の燃える車を背景に1人歩く宍戸錠という絵は、なぜか椎名林檎の『依存症』のPVと重なった、なぜ。
丽遥

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