ミラーズ

拳銃は俺のパスポートのミラーズのレビュー・感想・評価

拳銃は俺のパスポート(1967年製作の映画)
5.0
「ベレッタは殺し屋ジョーの旅券」


新文芸坐の宍戸錠の追悼特集にて。

個人的には、日活の宍戸錠主演作品は、結構な良作ぞろいで、裕次郎の次に作品に恵まれていたと思う。

晩年に出たラジオのインタビューなどでも、宍戸錠本人が一番好きな主演映画に本作を挙げていた。

自分もDVDソフトも所有している映画だが劇場での鑑賞は今回が初めて。
上映フィルムの状態は傷の目立つところにも有るが悪くない。

初めて観たのは、日活の名場面を集めた映画「アゲイン」で、あの超絶的ラストアクションを見せられたので、のちにテレビ放送で本編を観た時は、小林千登勢のウェットなドラマに違和感だったが、改めて見ると同じ袋小路のはぐれ者達の共感場面として悪くない。

ジュリー藤尾が、銃を撃たずギターで一曲歌うなどの昔の映画に良くあるサービスも嬉しい。

防弾メルセデスのデモンストレーションをする場面での強敵を連想させる巧みさや時限爆弾を作る際の緊迫感などの新しい試みも良い。

嵐寛寿郎や冷静な敵役の宮部昭夫やお坊ちゃん感のある若い杉良太などの役者陣も豪華。

一番の見せ場は、ラストの埋立地での、日活撮影所にある移動レールを全て使ったと言われる高速横移動撮影のアクションは、映画史に残る名場面だと思う。

宍戸錠の素晴らしい体技と板に付いた拳銃さばきを活かしての複数の敵や防弾メルセデスとの息詰まる対決の迫力とハードボイルドな終わりで締めるラスト。

傑作。