Punisher田中

Pearl パールのPunisher田中のレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
4.0
舞台は1918年。
テキサスのとある農場で家族と暮らすパールにとっての娯楽は映画と踊り。
しかし、戦争による経済難と困窮した資源によって切羽詰まったぎりぎりな生活を求められていたために身も心も追い詰められていくパール。
そんなパールの元にあるチャンスの話が舞い込むのだった。

見事と云わざるを得ない面白さ!
時代設定は昔であれどつくりとしてはかなり現代に寄り添っており、前作Xと同様のテーマを更に強く語っている。
今作の立ち位置は少し特殊で、昨年公開したXを始めとした3部作の2部作目。
ただ、時系列的にはXの続編というわけではなくXの前日譚という形であるものの、未知の狂気・抑圧された環境とそれによって生み出された怪物をXよりも奥深く描いている傑作!
丁度の良いテンポに時折り織り交ぜられる重いトーンのシリアスも今作を軽いエンタメとして消化させない様に配慮しているのは如何にもA24配給作品っぽいし、「オズの魔法使い」オマージュしていながらもその時代の問題点を蔑視しているのも良い。

そして、今作の何より良かった点はより「X」を観たくなる様に誘導していた点。本国ではXの公開3ヶ月辺りに本作を公開しているので制作スケジュール的には割と被っていたということもあってXとの矛盾がほぼ無く、完璧にパールの謎を保管する作品となっているので、今作を鑑賞するとよりXが輝く作品でもあったと思う。
終盤では「X」をふんだんに用いた場面が多く、Xへと話が帰結することを意識させる。
皮肉にも""Xファクター(未知の才能)""は確かにここにも居た。