これはかなり傑作じゃないだろうか。
もう我々の、殺人がみたい！だって殺人がみたいから！という願望を全て叶えてくれた。
田舎の農場で身体の不自由な父と、厳格な母との生活に抑圧された末、女はついに、、、といふウェットな流れは全て吹っ飛ばして最初からもう殺人の匂いしかせず、殺人が起きるのはもう時間の問題の言った具合。彼女は人を殺す、だって彼女は殺人鬼だから、という寸法でどんどん殺人が起きてゆく。殺されそうな人間は必ず殺される、だってこいつは殺されるから、といった景気のいい空気が映画全体を包んでいて非常に快かった。
アイリスアウトの使い方もすっとぼけていて親指がグッと立つ。
そこにいない夫へ、死ねばいいのにと語るミアゴスのアップ、
玄関から出てきてブロンドを追いかける移動ショットなど映画的で心を打たれる。
また自分を抑圧し、善き妻、善き母として女手ひとつで気高く家族を守ってきた末に娘から「あなたみたいになりたくない」と言われた母の顔も美味。
