太

Pearl パールの太のレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
3.9
不安定な人間が徐々に崩れて崩壊していく様は映画的でやっぱ好きだ。
ジャンルはホラーというより誇張した1人の人間ドラマにも感じる。
主人公は笑っちゃうくらい猟奇的でぶっ飛んだ天才シリアルキラー。と思っていたけど終盤の長尺ワンカットでの長セリフは泣きそうになるくらい悲しい人間の想いがこもってた。このシーンはたかがサイコパスの戯言で片付けられない監督や脚本家の熱く痛い想いが嫌でも伝わってくる、ホラーでこんなセリフ見たくないよ、つらすぎる、ワンカットでの撮影もこのシーンへの覚悟が伺える。見る人間全ての心の闇をメタメタにブッ刺してくる。この映画薦める相手は選んだ方がいいな、見せられない家庭環境の友人の顔が浮かび上がってきた。

母親はパールの全てをわかっててあの態度なのか、それでも母親が正しいとも思わない。鶏が先か卵が先か。母親次第でパールの生き方も変わっていたのかもしれないし生まれた時点で変わらなかったかもしれない。親の教育に全て責任があるわけでは無いけど娘を諦めて見放した態度を取ったことが殺人鬼へのトリガーになってるとも考えられる。パールから精神的にも物理的にも離れていく人間は全て殺されたから。ここに世界の情勢や例の父親が入ることで一概に母親を責めるのも難しくなってくる。まだ自分の頭ではロジカルに整理できない、誰かとぜひパールについて語り合ってみたい。

オーディション合格した子がひたすら可哀想なのだけは間違いない。
太