ユトリ

ほどけそうな、息のユトリのレビュー・感想・評価

ほどけそうな、息(2022年製作の映画)
4.0
完成を知ってからずっと、これだけは何としてでも観に行かねばならん!と思っていた作品だったので無事に鑑賞できてまずはとても嬉しい。見に行った回はほぼ満席で、児童虐待や児童相談所への社会の関心の高さを感じられたことも感慨深かった。

結局のところ、世間から見たら“正義感に溢れる“もしくは“冷血“に見えるかもしれない児童福祉司もひとりの人間で、感情的になってしまうこともあれば家で落ち込むこともある。彼氏と喧嘩することもあるし休日にずっと仕事のことを考えてしまうことだってある。そんな当たり前のことを改めて感じさせてくれる作品。

そして、児童福祉司が人間であるのと同様に、虐待をしてしまう保護者もまた人間。子どもとの暮らしを突然奪われた直後は福祉司を敵視して罵詈雑言をぶつけてしまっていたとしても、粘り強く子育ての大変さや生い立ちへの複雑な思いを受け止めてもらう関わりを通して少しずつ変わることができる。はずである。

この作品が一人でも多くの人に届き、いつの日か児童心理司や保護所で働く児童指導員なども登場するもっともっと現実に即した児相作品が生まれることを願ってやまない。
ユトリ

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