いっちゃん

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのいっちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
アタシたちは全然大丈夫じゃない。

個人的に刺さる部分も多々あり、かなりしんどい映画だったけど、鑑賞後想像してたよりは落ち込む事はなかったと思う。

それは激しい演出や強烈なカットをとかCGとか刺激的な絵を撮りがちな最近の映画に一石投じるような、一貫して優しい絵作りを貫いてる演出部分(ライトが大体暖色で目に優しい)や登場人物の時に痛いほどの優しさに包まれたから、かもしれない。

特にそういう演出部分で好きだったシーンは、ストリートファイターって人と人が殴り合うゲームを肩を並べてプレイしてるシーンで両者共に殴らずにお互い飛び跳ねてるだけのシーンとか、人形に語りかけた瞬間に夕陽がさすシーンとか、書いたらキリがないからこの辺で止めるけど、

そんな宝箱にしまいたくなるような奇跡みたいなシーンが散りばめられてるのもテーマがテーマだけにアタシみたいに辛くなるだろう人に向けた監督の優しさなのかなとか思ってしまった。

自分はAMABのノンバイナリーという自分の持つ属性ゆえに、無自覚でいたかった自分の持つ属性の加虐性に主人公同様悩まされたりしてきたので、やはり前述した通り個人的に刺さるシーンやセリフが多くてまだ咀嚼しきれてない部分があり、この映画に対しての適切な批評だったり言葉を出す事はまだ出来ないのですが、だからこそ、この映画を多くの人間に出来れば1人で、あるいは大切な人とそれぞれが他人や自分自身と向き合うように鑑賞してくれたらなと思える映画である事は間違い無いです。

個人的にはマジで「うー」とか「アー」とか「え〜ん」とか「うんうん」、とか言いながら見ちゃうタイプの(個人的に刺さる部分が多過ぎる)映画なので、1人で見に行って正解だった、、、

そして出来れば家で完全に1人で見たかったと思いました。(ソフト化して下さい!)

あ!んでも!
自分は舞台挨拶付きの方で見たんですけど、監督や演者さんの作品に対する解釈だったりを聞けたので自分の中でまだ咀嚼しきれない映画の持つテーマに対しての手助けになっていますから、決して映画館で見て後悔はしてない、むしろ見に行ってよかったと思ってます。