カツセマサヒコ

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのカツセマサヒコのレビュー・感想・評価

4.4
すごくすごくよかった…。脚本がとても丁寧で、言葉のひとつひとつを大切に拾い上げている。演じる人たちも、演技の技術だけではない、心の深いところで話している感じがして、とても好感が持てました。沁みた。。

原作に比べると、削ぎ落とした、と感じる要素も確かにあるのだけれど、負けず、というか、勝ち負けでないところで、映画作品としてきちんと好きになれる作品でした。

グラデーションを描くようにいろんな人たちがでてくるのだけれど、ラストが主人公でなくあの人の語りで終わるところもよかった。理解できない誰かと、言葉を尽くして話をしたい、聞きたい、と思える作品だった。いっぱい賞取って、広まってほしいと思った。細川岳さんの演技が本当に素晴らしかった。

傷ついているのに「大丈夫」と言った人、ある夜、俺の公式LINEに「死にたい」と送ってきた人、「ごめん」に対して「なんで謝るの?」と返したときそこに生まれる互いの理解し得ない断絶に途方もない悲しみに暮れたことがある人、違和感をうまく飲み込めず苦しむ人、そういう人の気持ちをあまり想像したこともない人、自分の加害性に悩む人。薦めたい人がたくさん浮かんだ。ぜひ、劇場でみてください。