骨折り損

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいの骨折り損のレビュー・感想・評価

3.2
なんだろう、こういう映画はけっこう好きだと思ったんだけどなぁ。

この生きづらい時代において、どこかほっとできる場所は必要だと思うし、それぞれの登場人物の、時代性を反映させたキャラクターは腑に落ちるんだが、どうも自分の正義と一致はしない感じがした。

生きづらい、辛い、それは確かにそうなんだが、なんだかもっと毎日の食事にありつくのにも必死な生活がある中で、「辛い」の描き方が、見る人によっては恵まれてるなと思われそうでもったいないと思った。

そう感じるのは、キャラクター達が自らの悩みを言葉で飾りすぎなのも大きい気がする。綺麗な言葉で自己分析が行き届きすぎている為、彼らの飢餓感をこちらが感じにくい。人の悩みに大小なんてない、それは自分自身、本当にそう思っているからこそ、そう思わない人にもどこかで腑に落ちるように演出して欲しかった。同じ気持ちで毎日を生きている人達は共感するだろうけど、せっかくこの時代に生まれた作家の価値観が、それ止まりになるのは歯がゆい。

今の若者は無欲だとか、冷めてるとか、寝ぼけたことをジジイに言われたくないから、こういう映画はもっともっと強く価値観を突きつけて欲しかった。
骨折り損

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