ふま

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのふまのレビュー・感想・評価

5.0
こういう映画を自分で見つけて、観に行ったとき、見つけてもらえたと思った。自分について優しいと自分で言うのは憚られるし実際どうかは自分が決めることではないからわからないけれど、さまざまに優しさや人と接することについて考えて考えて考えてしまう人の物語だと思うし、映画をはじめとして多くの「物語」に掬われてこなかった人を掬い上げてくれる作品だと思った。
人を傷つけ自分が傷つくのを恐れては対話できないけれど、それを恐れることはおろかすべてに無自覚でいられる人のことを同時に考えずにはいられない。たとえばこの映画を自分で見つけることはなくて、もし見つけても素通りして観に行くことのない人に知ってもらったり物語をわかってもらうにはどうしたらいいんだろう、とか。
本当は人を諦めたくないし、人を諦められないし、その「人」のなかには接することのある可能性のある相手だけではなく、自分も入っている。この物語に出てくる人やこの物語で見つけてもらえたと感じる人はみんなきっといつもそう思ってるんじゃないかと思う。七森と麦戸。白城。西村。他の登場人物もそうだけど、彼らはそれを常に鋭敏に繊細に感じていると思った。
何故か、映画が始まって数分で、ずっと込み上がるものがありました。全身の感受性がずっと何かを受け取ってた気がする。
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