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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのmakoのレビュー・感想・評価

4.2
《わたしたちは 全然大丈夫 じゃない。》
◎85点

原作: 大前粟生著、同名小説。未読。
監督: 金子由里奈
脚本: 金子鈴幸、金子由里奈。鈴幸氏は金子監督の兄。

京都にある大学の「ぬいぐるみとしゃべるサークル」、通称ぬいサー。心の内にある誰にも言えない気持ちをぬいぐるみに打ち明けることで保っている彼等・彼女等のもとに、新1年生の七森(細田佳央太)と麦戸(駒井蓮)、白城(新谷ゆづみ)が入ってくる。

主な登場人物は3人。
七森、麦戸、白城。

しんどい事や辛い事を人に話すと聞いた人が傷つくかもしれない。
でもぬいぐるみなら話しても傷つくことはない。肯定も否定もしないから自分も傷つくことはない。ぬいサーの人達は、優しくて繊細なんだなと思いました。

七森と麦戸は似ているけど違う。
七森は事が起こったときに反論できる人、麦戸は内にこもる人。
どちらがいいとか悪いとかはないけど、七森の言動は観ていて苦手でした。
白城は、七森と麦戸とは違ってぬいサーと別のサークルにも入っていて、そこでは居心地が悪そうでした。なら辞めればいい、という七森の言葉には賛同するけど、その他に白城に言ってた事は賛同できなかった。なんなら酷い事を言ってるなと思いました。
白城の事を何も分かってない。
白城なりにやってきた事を否定しているみたいで、七森が嫌な奴に感じた。
良かれと思って言ったことが、結果相手を傷つけているって、実生活でもあるけどそれを見てる感じでした。
そして私もそういう事があるなとレビューを書きながら思い、自省しました。
会話は楽しいだけじゃなく、加害性もあるということ。傷つける気はなくても、相手の受け取り方や間違った言い方、言葉足らずで真意が伝わらないなど。
コミュニケーションって難しい。
かといって、コミュニケーションしないのは寂しい。

白城は2人と違って、ぬいサーで唯一ぬいぐるみにしゃべらない人。なんでだろうと思ったらその理由を聞いてグッときた😢
白城も優しいなと思いました。

七森、麦戸は少し成長してた。
七森を悪く書いたけど悪い人ではないです。ただ、自分の加害性を気づいていないだけ。ある意味無自覚だからタチが悪いけど、根は優しくていい人です。


本作では、ジェンダーバイアス(男らしさ、女らしさ)やアロマンティック(恋愛感情を感じない)も描かれていました。

大丈夫?と聞いて、大丈夫と言う人は大抵大丈夫じゃない。
本作では、大丈夫という言葉が何度も出てきました。

本作は2回観ました。1回目は途中から寝てしまいあまりよく分からなかったけどいい感じの映画だなと思って。そしてフィル友のKKMXさんのレビューを読み(読み応えがあり、素晴らしい✨)、これは再鑑賞しないと後悔すると思い翌日観に行きました。
観に行ってよかったです😊
2回目鑑賞日は5/25。この日で上映終了でした。


5/24
観客 4人
劇場鑑賞 #60
2023 #66

5/25
観客 8人
劇場鑑賞 #61
2023 #67
mako

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