あさひ

美と殺戮のすべてのあさひのレビュー・感想・評価

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)
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圧倒的。エンドロールが終わっても立ち上がれないくらい、打ちのめされてしまった。
ナン・ゴールディンという女性の半生を語っていきながら、彼女が現在進行形で抗議しているオピオイド危機に関しても同時並行で語っていく。その語り口が見事で最後まで魅入ってしまった。

彼女の人生を語るにあたって、もちろんインタビューによるナン・ゴールディン自身の言葉で語られていくのだが、殆ど彼女が語っているシーンは映らない。彼女のフォトグラフィ・作品群に彼女の語りがモノローグのように被さっていく。
彼女自身の人生を彼女の芸術作品のモンタージュで語っていく。それは彼女自身の人生=芸術=社会の関係性を観客に提示するにあたって、最も効果的な手法だったと思う。

芸術と政治が切り離されそうになることに抵抗し続ける人々の姿をみて、僕もノンポリではいられないなと改めて思わされた。
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