「シチズンフォー」の監督、ローラ・ポイトラス最新作は画廊でナン・ゴールディンの作品を鑑賞しているかのごとき静謐に満ちたドキュメンタリー。オピオイド禍を生んだ製薬会社の後ろ盾であったサックラー家に対する責任追及行動の記録をまじえながらゴールディンのバックグラウンドとキャリアに対する彼女の感慨をはさみ明かしてゆく。
AIDSにより次々と親しくしていた人々が命を落とし『死が生よりも身近になった』という述懐は、そのままここ数年の私たちの日常にあてはまるのではないか?
昨今の創造者に敬意を払わない『活動家』の破壊行為はなんら問題解決につながらないのではないか?
等々考えながら観ていたらあっという間に終わった。NYCのナイトクラブの光景や音楽、交友関係を追うだけでもじゅうぶん楽しめる。
