監督 ローラ・ポイトラス
2019年だけでオピオイドという天然のモルヒネに近い薬のオーバードーズで5万人の人が死んでいることを初めて知った。現代のアメリカで、こんなことあるのか、驚愕だ。マリファナやコカインみたいに、目的が明確で自分から使いたかった人たちが死んだのなら致し方ないけど、依存症が無いから大丈夫だよと風潮し続けて、使用者を死に至らしめているなら大罪だ。
それらを扇動したのがサックラー家で、そこで稼いだ金をアート振興に存分に注ぎ込んで、善人の顔をしている。その巨悪と対峙する、写真家ナン・ゴールディンの人生のドキュメンタリーなんだ。
話の主軸は、ナンとサックラー家との闘いなんだけど、僕がこの作品にハートを掴まれたのは、80年代のニューヨークで、ポストパンクやニューウェーブカルチャーのど真ん中で生きてた彼女が切り取った写真の数々だ。
まさに、SEX&Drug&Rock 'n' roll。
10代のころの僕が憧れ続けたカルチャーが生々しく蘇る。このカオスの中からさらに新しいカルチャーが、どんどん派生して、現代のイケてるファッション・音楽・グラフィックにつながっている。
今の日本で言えば、彼らは東横キッズになるのか?
若くて貧乏だけど自由に生きたいというのは共通するのかもしれないけど、今の日本より比べようも無いくらい抑圧された社会の中で、強烈に自己表現したい、という思いの渦のようなものが圧倒的に違うんだよね。
いま観ても、やっぱカッコいい。