構成が素晴らしかった
ナン・ゴールティングの半生とPAINの活動が入り込んだ構成だったが、それぞれが切断されることなく、その流れは必然に思えた。
アートは政治家に、聖職者に、マスメディアに、世間に、代弁されない個人の声の発露なのではないだと気がついた。
画家が、彫刻家が、自らを「芸術家」と捉えていなかった、王朝と教会と貴族のための”芸術”が終わり、ゴヤが国に対する、政治に対する、個人の怒りを描いたことから近代芸術の時代が始まるとするなら、政治と芸術が切り離された存在であるはずがなく、のうのうと小さな声に気がつかずに生きている私が芸術に耳を傾ける理由はそこにある。