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熊は、いない/ノー・ベアーズのcrnのレビュー・感想・評価

4.5
ドキュメンタリー作品の撮影を通して見る現実と、それを遠隔撮影する監督の滞在地にある現実。そのどちらにもいる希望を失う人たちを、パナヒは客観的に見つめているように見せながら、いくつかの意思表示をしていく。彼が最後に引いたサイドブレーキと、熊はいないと断定するタイトルから、彼の意思の強さを想像させられる。

作品の構造、劇中劇での自己批判という見せ方、エンディングが巧み。キアロスタミの時代より、今の方が閉塞感と絶望が深くなっている印象で悲しい。パナヒ監督の次の作品が観られることを願う。
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