ねむろう

熊は、いない/ノー・ベアーズのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_233


いないんかな、いるんかな。
いないんちゃう?
知らんけど――


【簡単なあらすじ】
国境付近にある小さな村からリモートで助監督レザに指示を出すパナヒ監督。偽造パスポートを使って国外逃亡しようとしている男女の姿をドキュメンタリードラマ映画として撮影していたのだ。さらに滞在先の村では、古いしきたりにより愛し合うことが 許されない恋人たちのトラブルに監督自身が巻き込まれていく。2 組の愛し合う男女が迎える、想像を絶する運命とは......。



【ここがいいね!】
イランの社会問題に対して映画で挑戦していくというパナヒ監督が、監督・脚本・演出・主演をしている本作。
その中で描かれる2組のカップルがたどる運命をドラマチックに、一方でシニカルに描いている作品でした。
特にザラとバクティアールの話に関しては、一つの「ドキュメンタリー映画」として、また一つ奥の枠で描いてることも、本作の多重性を表していますし、イランという国の内実を描いていると感じました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
2組のカップルがたどる運命というものが、ほぼ説明されずに最後まで行ってしまうところはありました。
私も、パンフレットを少しだけ見てこの内容を書いているわけですが、ある程度の知識を入れないと難しい作品になってしまうのかなと感じました。
それと同様に、パナヒ監督の実情を知らないと、「なんでリモートでディレクションしてるの?」となってしまうと思います。



【ざっくり感想】
今年は『君は行く先を知らない』(2023)という映画を観ましたが、それと似たように、イランという国が持つ生きづらさを描いていました。
それは、外側から見ての生きづらさと、中にいる人たちがその生きづらさにどう向き合っているのかというところを思いたくなる映画だったからだと思います。
この映画がイランという国を飛び出して、私を含めた世界中の人の目に触れること自体に価値のある作品だと感じました。
ねむろう

ねむろう