きよきよ

熊は、いない/ノー・ベアーズのきよきよのレビュー・感想・評価

4.0
2023年秋にトーク付き上映会で鑑賞。初めてパナヒ監督を知る。政府に制約を課せられても、自分で出演しつつ映画を作ってしまうすごい方だった。この作品は冒頭から、あったかくてユーモラスで力強い監督のお人柄が、ビシバシ画面から伝わってきてなんて素敵な人だ!と思ったのも束の間、進行する話が現実か虚構かだんだんわからなくなっていき、いつしか心の奥底が冷たくなる。人間が集団で暮らす生き物である以上、避けて通れないのは、集団の外か中か(所属するか、はじかれるか)、集団から認められるための掟に従うか、そうでないか。この根源的な圧力を、監督自らがその狭間に立ち、観るものに提示する。ああそうだ、映画ってこういうものだった、と思い出す。パナヒ監督の眼差しの強さと鋭さに敬意を。
きよきよ

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