最近、仕事やら私生活諸々が忙しくて、映画を観るのも途切れがちになっていました。
で、140分のこの作品も一週間かけて観た次第です。
舞台は1985年、アルゼンチン。
時は長く続いた軍部の政権が倒れ、やっと民主政権を勝ち取ったばかりの時代。
ところが軍の7年間にわたる間に、約3万人が行方不明になっていることが判明しました。多分、軍に反対していた人たちが捕らえられ、拷問の末殺されたらしいということもわかりました。
それを暴くストラセラ警部。
警察は軍とズブズブの関係
一般国民も多くは軍とつるんで甘い汁を吸っていた始末
いつまた政権がひっくり返るかも知れないので誰も証言者がいない。
軍の幹部連中は
記憶にござんせ~ん
部下がやったことざんす~
俺らは軍事裁判しか信用しないもんね~
としらばっくれ
全く憎たらしいったらありゃしない。
それを警部以下、損得勘定がない若者たちがひとつひとつ真実を暴いていくのだが。
とてもテンポよく進むので、わりと面白かったです。
しかし、1985年といえば西側諸国は自由を謳歌していた時代。
文明国家だと思っていたアルゼンチンにあんなひどいことが起こっていたとはショックでした。
人間とはとことん残酷になれる生き物でもあるし、
そして何より長期政権による多くの癒着を切り崩すことは並大抵ではない。
それに対して危険を省みずに向かっていく人間も必ず現れることは救いでもあります。
そして、悪と立ち向かうときは決して諦めてはいけないということも教えてくれています。
ストラセラ警部役のリカルドダリンさんが、普通のどこにでもいるような夫であり、父であることが、とっても良き雰囲気を醸し出し、この映画の難しい内容を観易いものにしてくれました。