shibamike

ルードボーイ:トロージャン・レコーズの物語のshibamikeのレビュー・感想・評価

4.5
かかる音楽がどれも本っっっ当に最高。

Trojanという名前はよく見かけるも、なんのこっちゃと思っていたけど、60年代中盤から70年代前半にかけてイギリスでジャマイカ音楽を発信し、新たな文化を生み出したウルトラスペシャルなレーベルとのことで、あっちょんぶりけっ!!!となった。
映画ではTrojanの歴史を見せてくれるのだけど、それはそのままレゲエの歴史でもあって、如何にTrojanが重要な存在であったか思わされた。

サウンドシステム、スカ(ギターで「スキャ、スキャ」とやるからスカらしい)、ルードボーイ、スキンヘッズ、レゲエといったイカす文化を当事者インタビューおよびイメージ回想シーンを混ぜつつ我々にとくとくと見せてくれる。

そして、作中で多くの曲が流れるのだけど、「え!この歌もTrojanなの?」「え!この歌もTrojanなの?」「え!この歌もTrojanなの?」という驚きの金太郎飴。名曲はショボい百均のイヤホンで聴いても名曲だと思うけど、やっぱり劇場の爆音で聴くのは贅沢!嬉しいっ!

今でこそ世界的市民権を得ているTrojanの音楽だけれど、登場間もない頃は業界からさっぱり相手にしてもらえず苦労したとのこと。しかし、地道な活動(海賊ラジオとか)により徐々に人気を得ていく。なんてったって曲はサイコーだものね。
a message to you rudiをポツリポツリと弾き語るシーンはトリハダ立った。ルードボーイというと不良なんでしょ?と思っていたのに、この歌の歌詞は全然真っ当で自分は不思議だったけど、さういった点にも言及があり感激だった。

映画観終わって思ったのは「やっぱり音楽というのは、人生幸朗なんすね」ということであった。
人生幸朗「歌は世につれ、世は歌につれ」
Trojanあれやこれや言ったところで、"ジャマイカ人による生きていくための闘争"というところに行き着くと思う。ジャマイカ音楽というのはその生きていく為の闘争の支え・慰めなんだらうなと思わずにいられなかった。
不景気による暴力蔓延の中、ジャマイカで産声をあげたジャマイカ音楽。当初はアメリカのR&Bベースだったのが、どんどん進化を遂げていく。
時代は流れ、イギリスに仕事や居場所を求め、ジャマイカ人のイギリスへの移民が増え、新天地での居場所を掴み取るための闘争、そしてそばにあったのは故郷のジャマイカ音楽。
いつもこのジャマイカ音楽というのは弱い持たざる民衆の味方であり支えだった。
たくさん持っている恵まれた人達が逆立ちしても思いつかないやうな素敵でカッコいいアイデアがいっぱいだった。
さういう辛い気持ちの人に寄り添う歌だから普遍的に世界中の人の心の深いところに届くのでせう。別にはっきりと「元気出せよ」なんて歌詞で言ってる訳じゃないのに、聴くと元気になる。音楽って不思議〜

大成功を収めたTrojanも御多分に漏れず、motownやstax、chessなどと同じやうに倒産してしまう。しかし、motownらと寸分違わずTrojanが作り出した珠玉の音楽達は今もびた一文色褪せることなく世界中で愛されている。本当に実感を持ってさう思える。自分もしょっちゅう聴いているあれやこれやの音楽の数々がTrojanの音楽だもの。

ピーター・バラカンさんの音楽映画特集で本作を観たのだけど、本作は今後日本で上映予定らしい(多分)。
(てかyoutubeに全編アップされtrojanー!)


レゲ三毛 trojanの一句
「全身で 浴びて漂う 喜びね」
(季語:喜び→喜び組→北朝鮮→寒い→冬)
shibamike

shibamike