マヒロ

バートン・フィンクのマヒロのレビュー・感想・評価

バートン・フィンク(1991年製作の映画)
3.5
演劇での腕を買われてハリウッドに招かれて映画の脚本を書くことになった脚本家が、上手くいかずに悩みに悩みまくる、というお話。

こういう話に付き物なのは妄想描写で、余りに頭を悩ませすぎた作家がおかしな妄想に浸るようになったりするのが常なんだけど、この映画では果たして今映像に映っているのが妄想なのか現実なのか、という境目ですらハッキリと分からない。見終わってから改めて、あの人は本当に存在したのか?とか、あの意味ありげな描写はなんだったのか?とか、色々考えを巡らせてしまう。

ストーリーの解釈云々だけでなく、主人公が泊まるホテルの異様雰囲気も良かった。人の気配が無いのに靴だけがズラリと並べられた廊下、親切なようでどこか怪しい隣人、ベロリと剥がれる壁紙、地下から現れるブシェミなどなど…観ていてどこか居心地の悪くなるような絶妙に気味の悪い描写が上手いなぁと思った。

コーエン兄弟、今では独自のスタイルを持っているけど、初期の方では割とそれぞれ毛色の違う作品作ってたんだなぁ。

(2015.76)
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