待ちに待ったイニャリトゥの最新作。こんなに話題にならないこと、ある?
フェリーニの「8 2/1」だと思ったけれど、東京国際映画祭のインタビューより「本作を自分のバイオグラフィーにされると困る」とのこと。
ただ、数年前に同じくNetflixでキュアロンの「ROMA/ローマ」、アルモドバルの「ペイン・アンド・グローリー」が出たことにより重ねざるを得ない。
「自伝的映画」じゃないという目で、初めから観ればよかった!
なので、どっちかと言うとゴンドリー監督が描くファンタジーのように、アルモドバルで言えば「キカ」のように。頭の中を覗くつもりで観ればよかったのね。
「アンダーグラウンド」やホドロフスキーも彷彿とさせたし……え?他の映画に喩えすぎ?
ついにイニャリトゥもNetflixに来たか〜と思ってしまったよね。ティム・バートンの新作ドラマも来たし、もう、Netflixに来ない監督は逆にいないのか。
全編メキシコロケ。「生と死」をお金を持って、やりたいことをどんどん映像化して、自由に作らせると、こうなるのかっていうのが、まず感想。
今までの素朴でヒリヒリする人間ドラマとはまた違って、思っている以上にアーティスティックで頭の中、すごいなと。どの作品よりもファンタジー。
冒頭から「赤ちゃんが死ぬ」(正確に言うと「出てきたくないから、お腹に戻る」)という一番フレッシュな「生」と「死」を同時に描いているのは、衝撃。
長いので寝そうにもなるけど、最後まで飽きさせないストーリーになっている。途中からは自分も、自分の父について考え出しちゃった。
ポスターにもなっているデビッド・ボウイの「レッツ・ダンス」のシーンより、私は家族で海に還すシーンが印象的で好き。
セリフはほぼないけれど、泣きそうになる美しさ。役者の表情に寄るわけでもないのに、あの画だけで綺麗に魅せてくるのは、日常の延長にある美しさの頂点だった。
東京国際映画祭のインタビューを聞いていて思ったのは、日本の映画監督、作家について本当にくわしい!日本だけじゃなく、世界中のアーティストに詳しいんだろうな。
長回しのワンショットカットに気づけなかったので、配信で確認したい。
そして早く次の作品また観たい!