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バルド、偽りの記録と一握りの真実の666のレビュー・感想・評価

4.2
夢の中の不思議な感覚、いつの間にか場面が変わったり、夢では自然に思うけど現実ではありえない事を映像にしている、
なんだかそれだけ観れて満足する感覚。
地上から走って飛び始めてまた地上に落ちる、って世界中の人間が夢で見るのね。

夢って感情の整理に使われるみたいな感じに思っているのだけれど、今作の主人公の様な葛藤では無いものの、自分の葛藤や心理があっての夢内容や、現実の事でも夢内容の様に解釈整理する事ってある。
漠然と脳内上映されるだけで実映像で中々見ないから、映像化出来るのが凄い。
夢(自分の心理)みたいなものと現実とのミックス具合がとても見事。

イニャリトゥ、自身もお子様を亡くしているとの事だから、今までも作品も子供の死を扱うテーマが多く感じる。
今作は思いっきり自分投影映画ではないかと思う。
移住者の苦悩、過去の過ち、家族との関係、分かるんだけど、映像のインパクトがあり過ぎて、内面的な複雑さはあるようで無いような…(まぁ自分が移住者でも偉業を成し遂げた人でも無いから偉そうな事は言えない、分かってないだけのやつかもだけど)
「バルド」を「中隠」って訳だったのだけど、私は始めて聞く言葉、
今世と後世の中間らしい、49日的な感じ?

因みに私は『バードマン』好きなのですが、イニャリトゥの今作タイプを分ければソッチ寄りですかね。
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