えいむ

ボーンズ アンド オールのえいむのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
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理解されない理解しあえない孤独を感じているひとには抉られる箇所がたくさんある映画です。
生きている限りひとは孤独でも、愛し愛されることは存在すると思えました。
ラブストーリーの苦手なわたしが初めてこのラブストーリーで愛を感じることができた。

ティモシー・シャラメはひたすらかっこいい。うつくしすぎ。

カニバリズムということ自体は知っていて、ただぼんやり、まぁそんなこともあるのだなぁ、と思うくらいなもので。
ああ、結局食べることで寂しさを埋めたいからなんだろうなとも思っていたけど、ボーンズアンドオール観て、やっぱり孤独なひとは「そう」なんだと確信しました。

満たされない自分を満たしたい欲望が「食べる」という行為に繋がっているんだともおもいます。

小さい頃に見た藤子F不二雄のSF短編集のミノタウロスの皿で、食べられることに喜びを感じる少女の描写があり「わたしは選ばれたから」とその少女は言っていて、あぁ、食べられることも特別なことなんだと今日思い出しました。

孤独なひとにとって唯一満たされ愛される瞬間が、食べられるとき、食べるときなんだろうと。わたしはすきなものやたいせつなものを食べちゃいたいくらいかわいい、いとしいと思うので、そうなんだと思います。

ひとにすすめられるか?と言われたらううんとなるけれど。結局ずっとひとりで、孤独で、誰からも認められないんだという気持ちをどこかに隠しているひとは、自分だけじゃないのか、と思えるホラーとひとことで括れるような単純な映画ではありませんでした。
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