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ボーンズ アンド オールのSQURのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
1.0
カニバリズムラブロマンスと言われて瞬時に思い浮かぶイメージを何一つ上回ることのない陳腐な映画だった。

半端にマイノリティの苦悩の文脈を引用しているが、物語として描ききれていない。しかし、半端に"カニバリズムもの"に社会的文脈を重ねてしまった故にゴシックな魅力にも振り切れていない。
また、この世界の片隅で居場所のない2人のロマンスと言うほどの"孤独"も伝わってこない。
セックスを頑なに描かず、延々とキスシーンを描き続ける。にも関わらずそこにどのようなアイデンティティが関わっているかに気を払うことがない。
キスと食べるのどちらも口を使った表現であることに対する洞察も感じられない。
全方面において中途半端なお話。
予告編にも紹介されている導入の指のシーンの衝撃に引っ張られてしばらく観続けられるのだが、それは人間の生理的反射を利用しているだけで姑息だ。

何より失敗していると感じたのはラストシーンで、中学生が初めて書いた小説とかだったら許せるけれど、今の時代にこのような手垢の着いた"オチ"をシラフで出されるとゲンナリする。

というかタイトルにもなってる「骨まで食べると結局どうなるの?」が描けてないのはさすがに怠慢ではないですか。
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