パルパティーン

ボーンズ アンド オールのパルパティーンのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.2
このような映画を映画館で見たのはいつぶりだろうか。もしかしたら初めてかもしれない。カニバリズム映画でもあるけど、どちらかというと純愛映画よりであった。監督の撮影の仕方で初めて見るようなやり方やあえて遠くから撮影してカメラをズームしていくような撮影が多いなと感じた。

どんなティモシーでもやはり美しい。顔まわりが血だらけでもなんとも思わない。
R18なのでよりリアルにカニバリズムを描いているので、少し見てられなかったけどだんだん慣れていった。食べているところを多少は写すけどほとんどは音でリアルさを演出していた。観客に想像してもらうというやり方で、それが余計にグロさを高めていった。

サリーおじさんがもうイカれている。彼は今までずっと同士に出会うことなくずっと孤独で人を食ってきたからこそ、自分をわかってくれる人に出会ってストーカーになっていくのがもう見えていた。

起承転結の転当たりで2人のロードムービー、そして結での2人での暮らしをずっと見ていたいなと思った。しかし、何かしらそれをぶち壊しにくる存在はくるだろうと思った瞬間にそれは訪れた。あのバッグを見た瞬間であった。

どれだけ彼らは「普通」でいたかったか。普通でいることがどれだけ苦しいか。普通に過ごして生きていきたかったけど、それが些細なことで崩れ去っていく。これは自分たちの人生にもあり得ることである。「普通」でいることとはなんなのかというのを突きつけられたように感じた。


2023年17本目