このまろ

ボーンズ アンド オールのこのまろのネタバレレビュー・内容・結末

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あんまりグロ耐性ないけどティモシー出るなら見なきゃ〜💦ってことで耐性ありそうな友人連れて初日に鑑賞。

"私だけかと思ってた。"
カニバリズム×愛はなかなかの変化球。共感できないかもと思いながらも、人に言えない悩み、それに対する葛藤は誰しもあるものだと。同じ衝動を持ち、葛藤している仲間を見つけ、マレンとリーは心を通わせていく。
つい人食いに目がいきがちになるけど、この作品が私たちに訴えかけているのはマイノリティへの眼差しと、こんな痛み・生きづらさを抱えてあと60年生きなければならない若者の叫びだと色んな人の感想などを読んで知った。(凄く腑に落ちた。)

3人それぞれどのような人を食べるのかに共通点(ルール?)がある気がした。サリーは死にそうな人の死を待ってから。マレンはそもそもあまり食べたくない、生きるのに必要ではないけれど勧められたら食べる感じ。特に気になったのがリーで、リーは彼が思う悪人を食べていたんだと思う。悪人を食べることで罪悪感を消していたのかもしれない。その証拠にリーはよく「僕を悪人だと思うかい?」と聞いていた。彼が思う"悪人"をこの世から消し去ることが人を食べるという行為に対する免罪符になっているのかもしれない、と思った。

食べたものから自分の体が作られる。(ここで『君の膵臓をたべたい』を思い出した)
"愛は、血の味がした。"
愛して食べたんだな。これも一つの愛の形。
序盤は「人食べてるグロい無理!」と思った。でもラストは「人食べてる切ない…愛だわ…」
…何これ(褒めてる)

最後マレンは彼を骨の髄まで食べ尽くしたと思う。(あんなに血で汚れてた部屋がきれいになってたし。)
彼を愛して、"骨"まで食べて、彼の"全て"を自分の一部にしたんだな。

私もこの作品を骨の髄までしゃぶり、全てを味わい尽くしたい。上映後、そんな思いでストアに足を運んでスタッフさんに声をかける。
「あの、ボーンズアンドオールのパンフレットください」
このまろ

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