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ボーンズ アンド オールのmitzのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.5
人喰い(イーター)として生まれた少女マレンが自分の生い立ちを探るために母親に会いに行くロードムービー。
道中で同族の青年リーとの出会いからラブストーリーの要素も重なり、猟奇的なカニバリズム描写も含め結果的にはジャンルレスで稀有なストーリーが楽しめます。またイーターという架空の存在でありながらも、実在するのではないか?と錯覚するほど彼らの特異な生態系が詳細に描かれ、他人は傷つけたくないが衝動に突き動かされる葛藤には妙なリアリティがあります。また母親との再会はその佇まいを見ただけで全てを理解できるほどの衝撃的なシーンです。
登場人物たちの演技力も素晴らしく、特にティモシー・シャラメの存在感が際立ちます。ロードムービーとしての美しい情景と血に染まる絵力とのコントラストもあり、エピローグのようなラスト15分の展開からタイトルに帰結するまで、完成度の高い作品です。
ただクライムサスペンスの要素を抑えたが故、血の量に対して「法」の存在を全く感じないこと。また被害者(とその家族)の人物描写が乏しいことなどディテールの粗さがあり、お伽話のような消化不良は残ります。
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