見た目は一般的な人間だが、一部の人食いの衝動が抑えられない人たち(イーター)の物語。
人食いという、人を傷つけいわば命をも奪う行為を、抑えられない人たち。
だれも傷つけたくないし、やってはいけないことと理解しながらも、その衝動から解き放たれることはない。
それを止めるには、自らを閉じ込めるか自死のみ。
マレンにつきまとうサリーは、一緒に人食いをし血が乾くまで一緒にいた、そんな経験は初めてだったとマレンに言った。
リーは、自身の人食い性から他者とは距離を取るが、自分を慕ってくれる妹に依存する。
マレンも、サリーやリー、父親や母親などの拠り所を彷徨っているようだった。
誰を傷つけたいわけじゃない、自分を大事にしたいだけ。
そして自分を受け止めてくれる場所が欲しい、ただそれだけ。
カンニバルの物語だったが、人間の根源的な生きづらさが反映された物語だった。
いつか世界は、この物語に答えをだせるのだろうか。