スペクター

ボーンズ アンド オールのスペクターのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
2.9
カニバルホラー×ラブロマンス×ロードムービー
父親に見放されたことがきっかけで、自分のルーツと母親を探す旅に出る。

美しい映像に俳優達の怪演が物語を引っ張っているけど、話が進むごとに無視できない疑問点が出てくる。

最初にやっちゃったことがとんでもないのに警察に追われている感じがないし、町をうろつくときもニュースや指名手配とか普通気にしないか?

人喰いであることに対してヒロインが葛藤して罪悪感に苦しむ描写が少なすぎない? 食べる相手が独り身だったらOKで、家族がいると知ったとたんリーを責めるってどういう線引き?

マレンとリーが惹かれ合っていくなかでお互いを食べてしまうかも…という恐怖や不安が無いのが不自然。これがあったらよりハラハラした。

そもそも人喰いをどうしたら辞められるかを模索しないのも不自然。やってみて結果ダメだったでもいいと思うのに。

人を直接食べる描写はほとんど写さないのにR18指定 になったポイントが分からない。R15でも問題無い気がする。

同じカニバルホラー映画「RAW」(R15)と比較してしまったからか、物足りなさはあった。

原作を読んでないからルカ・グァダニーノがなぜそこまで映画化したかったのかピンと来ない。けど、彼じゃなければこの俳優陣は揃わなかったろう。
ティモシー・シャラメは彼の映画で一躍スターになったし、マーク・ライランスも彼の映画じゃなければこんな役引き受けなかったと思う。テイラー・ラッセルも良かった。
それでもヴェネチア国際映画祭はイタリア人だからって銀獅子賞(監督賞)を与えたのは贔屓じゃないかな。

不穏な雰囲気は続いて、ラストは人喰いらしい悲しい性を思わせる。
ティモシー・シャラメ目当てで見るのは間違ってない。
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