ルーク大佐

アテナのルーク大佐のレビュー・感想・評価

アテナ(2022年製作の映画)
3.9
最近この手のフランス犯罪映画をよく見かける。
冒頭のロングショットやスローモーション。宗教音楽のような挿入曲。
光の明暗を用いた絵画的なラストシーン。
監督のセンスにあふれている。

ただ、現代のフランスはヨーロッパ最悪の犯罪大国だ。20世紀はアフリカを植民地として搾取し、数々の政変を背後で仕込み、移民を引き入れた。移民3世に加え、中欧諸国から大量の犯罪者が流れ込み、直近ではシリアなど中東からの移民も入り、元々の白人既得権層との間で深刻な社会問題を引き起こしている。

格差社会や人種問題。キリスト教VSイスラム教の宗教対立。
薬物、強盗をはじめとする組織犯罪の激化と国家警察の横暴。
経済は二流国化し、反体制デモが日常化。まともな人は生活しにくい環境だ。没落するフランスの嘆きが映画の背景にある。

このような社会システムを解消しない以上、EU内でフランスの地位がドイツを上回るはずもない。
ラストのオチは不条理な社会でもがき続ける4兄弟のありようを辛らつに描いている。
ルーク大佐

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