自分には2019年フランス映画の傑作『レ・ミゼラブル』と通じる作品だった。「警官から」暴行され亡くなった弟を想う兄達の気持ちは同じでも、その想いの向かう先や行動の起こし方は違う。大切な人を失った真相を知るためなら犠牲も厭わない、もうこれ以上誰も失いたくない、今の困難な状況を打開したい。それぞれの違いを鮮明に描きながら、事態は一触即発のまま、さらに悪化していく。
冒頭の警察突入〜アテナ団地帰還までの緊張感が半端ない。
怒りの連鎖に陥りそうな感情を抑え、冷静になる。それにも限度はある。そこをどうしたら乗り越えられるのか。アブデルは警察官を殺す事ではこの連鎖は解決しないという、自分の想いを殺す選択をしたが、結果的に悲しみに飲み込まれてしまった。
これまでの鬱憤が、弟の死を発端に爆発した、という点では、警察に対する不満はなぜ蓄積していったか？という点の検証が必要だが、「実は警察が悪かったんじゃないんです」という終わり方が問題をより複雑化している。両者の対立を煽る者の存在。
そのラストだけ疑問が残った。あんた一体誰？作品中に出てきた人？
DJ MEHDI追悼のテロップ出てきてびっくり。Ed Bangerから出たアルバムよく聴いてたなぁ。2011年に亡くなってたのを知りませんでした。
