ぶみ

サントメール ある被告のぶみのレビュー・感想・評価

サントメール ある被告(2022年製作の映画)
3.0
真実はどこ?
あなたは誰?

アリス・ディオップ監督、カイジ・カガメ、ガスラジー・マランダ等の共演によるフランス製作の実話をベースとしたドラマ。
フランス北部の町、サントメールを舞台とし、生後15ヶ月の娘を海辺に置き去りにし、殺人罪の問われた女性の裁判の様子と、それを傍聴する作家等の姿を描く。
裁判で被告となる女性ロランスをマランダ、裁判を傍聴する女性作家ラマをカガメが演じているほか、ヴァレリー・ドレヴィル、オーレリア・プティ、グザヴィエ・マリ等が登場。
物語は、法廷をベースとし、そこに回想シーンや、傍聴しているラマの背景が描かれるスタイルで進行するが、本作品の凄いのは、実際の裁判記録をそのまま法廷シーンの台詞にしているということ。
そのため、被告人の姿を捉えて離さないカメラアングルも含め、半ドキュメンタリーかのようであり、時に傍聴人、時に陪審員になったような臨場感が味わえる。
反面、前述のように、傍聴しているラマのパートに結構な時間が割かれているのだが、傍聴しているという点では、観客側と同じであることから、あまりそこに力を入れず、純粋に法廷劇として描けば良かったのでは、と感じたのが正直なところであり、検察側と弁護側のバチバチの会話バトルを期待していた身としては、少々拍子抜け。
また、扱われているテーマは多岐にわたっており、一口で語れるものではないが、とりわけいざとなると、わからないを繰り返し口にする父親に対しては、同性として歯痒い限り。
その結末を描写しない反面、一緒になって事件の顛末を考えることができるため、性別年齢人種問わず、思うことは多いはずであるが、もう少し焦点を絞っても良かったのではと感じた一作。

人生をシンプルにするため。
ぶみ

ぶみ