dalichoko

ホワイト・ノイズのdalichokoのレビュー・感想・評価

ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)
-
ちょっと腰を抜かすほど驚いた。要するにこの映画は、極めて自虐的な人類への挑戦の映画だ。原作との関係はバームバック監督がインタビューで少し話しをしているが、必ずしもコロナと関係しているわけではないようだ。となると、冒頭の次々とクラッシュする車のシーンから、列車に劇薬を積んだトラックが激突するシーン、そして毒(例えると放射能)を浴びた父親とその家族というまるで脈絡のない関係が直線で繋がってゆく。アダム・ドライバーの演じるヒトラーを研究する教授、そして妻が薬のために肉体関係を結ぶ男、その男を撃つ銃。ぼろぼろになって最後たどり着いた教会系の救急病院で思い切り否定される宗教など、冒頭に書いたように、これは人類への自虐、まさにこの地球そのものを貶める人類を小馬鹿にするような映画だ。

この映画でまともなのは子どもたちだけだ。

社会的な地位の高い教授らがこうしたパニックの中で理性を失い、子どもたちが冷静に対処するという矛盾は、大人になると情報過多となり、真実を見失ってしまう恐怖を示しているように思う。
dalichoko

dalichoko