眠れないよ

ダブル・ライフの眠れないよのレビュー・感想・評価

ダブル・ライフ(2022年製作の映画)
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衣装や小物の配置、使い方が面白かった。

最初に映される夫婦の食事の場面、汁椀に乗せた白米をスプーンで食べている。レンタル夫との疑似夫婦の食事は、お茶碗に白米、汁椀に味噌汁といった一汁三菜のような献立。使っているのは箸。
詩織の服は基本的には白や黒、白いシャツに黒いアウターを羽織っている時もある。ダブルライフというタイトルのように、二つの顔や感情のどちらにも染まりきらない曖昧な気持ちの行き来を衣装で表しているように見えた。疑似夫婦が暮らす小さなアパートの作りも面白い。左右の窓の間に柱があって、右の窓には白いカーテンが床まで下りているのに対し、左の窓には黒いカーテンが床に届かない長さで居心地悪そうに垂れている。

風船を取る場面など、音楽や映像が印象的なシーンほど急に場面が切り替えられる編集が、程良い物足りなさを与えてくれてよかった。幸せな夢ほど長く続かないから、時間があっという間に過ぎてしまうことを表現しているのかと思って、好ましかった。

触れ合うワークショップは、どうしても濱口竜介のハッピーアワーを思い出させた。重心の話も。
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