監督の熱量で突っ走ったような映画。
この世の胸糞展開を詰め込んだような作品で、ジェットコースタームービーとしては面白いのだが、描写がとにかく表面的で、冗長な部分が多い。
主演の宮澤さんは確かに迫真の演技を披露しているが、他の役者の演技に難あり。美術や演出、説明的なセリフなど、ディテールの荒さも気になる。
個人的にはシュールなオチが一番好きだったが、後半の坊主の説教は聞くに耐えず、インサートの映像も説明的。
『ダンサーインザダーク』と比較している人もいるけれど、この作品は「ミュージカル映画の脱構築」「ドグマ95」という明確なコンセプトのもと作られた作品であり、本作がこの作品に匹敵する強度を持ち得ているかは微妙。
全体的に品がなく、私には合わなかった。ハマる人はハマるだろう。